相続の際に引き継いだ生命保険の税金

文書作成日:2016/12/05

契約者と被保険者が異なる契約において、保険期間中に契約者が死亡した場合、税金はどうなりますか。

先日、父が亡くなり、父が私(以下、A)にかけていた養老保険の契約者をAに変更しました。このように相続により生命保険の契約者を変更した場合の税金は、どうなるのでしょうか?

(当初)
契約者=父
被保険者=A
死亡保険金受取人=父
満期保険金受取人=父

(父死亡後)
契約者=A
被保険者=A
死亡保険金受取人=Aの妻
満期保険金受取人=A

契約者と被保険者が異なる契約において、保険期間中に契約者が死亡した場合は、新しく契約者となった人が契約の権利を引き継ぐことになります。今回のケースでは、お父様が亡くなった後、Aさんに契約者を変更していますので、Aさんが契約を引き継ぎ、「生命保険契約に関する権利」として評価された金額が相続税の課税対象となります。

1.生命保険契約に関する権利の評価
契約者が死亡した時点での解約返戻金の額が、生命保険契約に関する権利の評価額となります。
この場合、解約返戻金のほかに受け取れる前納保険料の金額、配当金等がある場合はこれらの金額を加算し、解約返戻金の額につき源泉徴収されるべき所得税の額に相当する金額がある場合には、当該金額を控除した金額となります。

2.支払調書の提出
契約者と被保険者が異なるケースで契約者が先に死亡した場合、その時点で保険金が支払われるわけではないため、生命保険契約に関する権利について相続税の申告がもれることがありました。そこで、この問題を解決するために、平成27年度税制改正において、「保険に関する調書の見直し」が盛り込まれました。

保険に関する調書の見直し(死亡による契約者変更の場合の調書の創設)
生命保険契約の契約者が死亡したことに伴い、契約者の変更の手続きを行なった場合には、その変更の効力が生じた日の属する年の翌年1月31日までに、保険会社から一定の事項を記載した支払調書が所轄税務署長に提出されることになりました。この改正は、平成30年1月1日以後に変更の効力が生ずる場合について適用されます。

一定の事項(記載される内容)

  • 変更前後の契約者の情報(氏名、住所等)
  • 変更前の契約者が死亡した日
  • 変更の効力が生じた日
  • 変更前の契約者が死亡した日もしくは変更の効力が生じた日の解約返戻金相当額(解約返戻金相当額が100万円以下の場合は、調書の提出はなし)
  • 保険料の総額、および変更前の契約者が払い込んだ保険料の金額

この支払調書の提出により、今後は税務署が死亡による契約者変更について把握できるようになります。しかし、相続人となるご家族が契約者の変更や相続税の申告といった必要な手続きをもらさないよう、日頃から契約内容の確認をしておきましょう。

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